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東京慈恵医科大学同窓会

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2018年02月25日 定年退任にあたって 精神医学講座、葛飾医療センター院長 伊藤  洋

 浜松の高校を卒業し慈恵医大に入学したのは昭和47年のことでした。予科の2年間、学部の4年間、勉学はほぼ試験前に限られていましたが、部活動(軟式テニス)には休まず参加し、先輩後輩に恵まれ楽しく充実した学生生活を満喫しました。この時期の経験が、その後の人生に大きな影響を与え、役立っているものと思います。
 昭和53年に精神科に入局しました。入局当初は学生時代の延長のような生活を送っていましたが、ある日先輩から「このままではまともな医師にはなれないぞ」と手厳しく注意された事をきっかけに睡眠に関する研究に熱中する事になりました。恩師の佐々木三男先生の指導のもと、NASAの国際研究に加わりJet-Lag Syndromeに関する時間生物学的研究を行ったのでした。
 平成13年には当時の青戸分院の精神科診療部長として赴任しました。臨床の最前線病院で精神疾患や睡眠障害の治療を行っていたのですが、平成15年に「青戸病院事件」が発生したのでした。この事件により、病院は大きな痛手を受け診療実績も低迷してしまったのです。こうした状況で、全く思いがけず平成19年に院長職を拝命する事になります。当初は青戸病院の廃院も話題になるような状況でしたが栗原敏理事長の御英断でリニューアルが決定されてからは、病院の教職員が一致団結し、新病院の建築に向け、毎晩のように夜遅く迄熱心な検討が行われたのでした。こうした事により病院の業績は好転し、新病院完成前に新病院における診療目標を達成する事になったのでした。こうした経験を通して、病院にとってもっと重要な事項は「ハード面以上に、医師、看護師、事務職種といった職種を超えた相互の信頼関係の確立と病院理念の共有化である」という想いを強く抱くようになりました。
 最後に慈恵医大、附属四病院の更なる発展を祈念いたします。長い間ありがとうございました。

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