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東京慈恵医科大学同窓会

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2018年02月25日 定年退任にあたって 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科、柏病院院長 東條 克能

 私は昭和55年に本学を卒業し、内科研修終了後当時宮原正教授が主催されていた第二内科に入局しました。第二内科は腎臓病学と感染症学を柱とした内科でしたが、私は研修2年目で第二内科をローテートした時に担当した患者さんの診療を通じて神経系と精緻なハーモニーを奏で、生体の内部環境の恒常性に大きな役割を果たしている内分泌学、特に神経内分泌学の魅力にとりつかれました。私の学生時代に内分泌学を専門とする医師は慈恵医大におらず、宮原教授に入局したら是非内分泌学の道に進みたいと懇願したことを昨日のことのように覚えています。宮原先生は快く私の希望を叶えてくださり、当時我が国の内分泌学の臨床と研究を牽引していた井村裕夫教授(後に京都大学総長)率いる京都大学第二内科にて内分泌学の研鑽を積むことが出来たことが今日に至る内分泌専門医としての出発点になったわけです。宮原先生の後を継がれた酒井紀教授にはハーバード大学マサチューセッツ総合病院内分泌科に留学する機会を与えて頂き、世界の最先端の環境で研究に没頭することが出来ました。帰国して数年後には内科学講座の再編成により私は第二内科よりほぼ一人という状況で田嶼尚子教授が主催される現在の糖尿病・代謝・内分泌内科に加わることになりましたが田嶼教授は快く私を迎えいれてくださり、内分泌疾患の臨床に関しては私に全幅の信頼を置いて頂き、学会・研究会等にも積極的に参加、多数の論文も著すことが出来、現在の日本内分泌学会における慈恵医大の位置づけを確固たるものに出来たと自負しています。以上のように私の医師としての道程を振り返ってみると素晴らしい恩師の先生方に出会うことができたこと、良き先輩・同僚・後輩に恵まれたことが一番大きな財産だったと思います。
 また慈恵医大での最後の4年間は柏病院の院長に任じられ、私には全く縁がなかった病院運営、病院経営の経験を積まさせて頂き、素晴らしい柏病院の教職員スタッフのサポートのもと堅調な成績を残せたことも含め、大学に勤務する医療人として本当に恵まれた人生だったと思います。
 最後になりますが、これからの慈恵医大のたゆまないご発展を祈念して私の退任の挨拶とさせて頂きます。

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