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東京慈恵医科大学同窓会

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2023年05月25日 令和4年 同窓会振興資金による海外派遣報告

 令和4年11月、米国フロリダ州にて開催されたAmerican Soci-ety of Nephrolog-y Kidney Week 2022(米国腎臓学会2022)に参加し、“Co-nditional ablati-on of nephrons in fetal mice”という演題を発表する機会をいただいた。
 ヒトではネフロン新生は在胎36週まで続くが、それより前に出生すると出生後はネフロン新生が起こりにくいことがわかっている。早産児はネフロン数が少ない「低ネフロンナンバー」を示し、学童期以降の高血圧や慢性腎障害につながることが指摘されている。しかし、ネフロン新生がなぜ出生後に止まるのかは不明である。低ネフロンナンバーの動物モデルとして、母体タンパク制限、母体および新生仔の高酸素曝露などによるげっ歯類の報告がすでにあるが、いずれも腎臓以外の臓器にも影響を及ぼす作製方法である。
 我々は平成30年に遺伝子改変マウスを用いて糸球体数を減らす方法を発表した。この方法では遺伝子改変がネフロン前駆細胞のみに作用するため、腎臓以外の臓器には影響を与えずに低ネフロンナンバーが作製できる。私はそのモデルマウスを解析し、発育・成長が良好なこと、血中尿素窒素が上昇し腎障害を示すこと、尿中アルブミンが上昇する傾向にあることなどを今回の学会で報告した。初めての海外の学会発表であったが、現地での質疑応答や助言を通して新たなアイディアや多くの貴重な経験を積むことができた。
 最後になりましたが、ご指導いただきました内科学講座腎臓・高血圧内科担当横尾隆教授、松本啓助教、小児科学講座担当大石公彦教授をはじめ、指導医の先生方、また海外派遣にご支援いただいた同窓会に厚く御礼申し上げます。

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