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東京慈恵医科大学同窓会

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2023年08月25日 慈恵大学病院 救命救急センターに指定される
学校法人慈恵大学常務理事 山本裕康


 2023年3月20日、慈恵大学病院(本院)は東京都から救命救急センターに指定され、3次救急医療を必要とする患者の受入を開始した。わが国の救急医療体制は1次・2次・3次の3段階であり、3次医療機関には救命救急センター・高度救命救急センターなどがある。本院は特定機能病院として高度医療を担っているが、救急医療に関しては2次に止まっていた。そこで救急医療体制に関する委員会にて検討が重ねられ、1999年に井上聖啓委員長、2007年に橋本和弘委員長、2020年に小島博己委員長による答申にて、三次として救命救急センター設置の必要性が指摘されていた。しかし、2005年に救急医学講座を本学に開設し、2012年には救命救急センターを柏病院に設置したものの、本院における救急体制は課題のままであった。
 この度の救命救急センターの指定に関しては、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)パンデミックに伴う通常診療への影響と、東京都における医療体制の逼迫が大きく関与している。本院における重症COVID―19患者の治療は、主に集中治療部(ICU)にて行っている。藤井智子診療部長をはじめ医師・看護師・スタッフによる懸命な医療により、素晴らしい対応ができたことを誇りに思うと共に、関係各位に深謝したい。その一方、本院のICUは20床のみであり、これらの患者を収容すると集中治療を必要とする非COVID―19患者の受入を制限せざるを得ず、“第2のICU”の必要性が生じた。そこで、2021年10月から救急医療体制の検討を再開し、その委員長を私が務める事となった。救命救急センターの指定要件として“救急ICU”を6床以上有することが規定されており、“第2のICU”としての役割を担い特定機能病院としての責務を果たせると考えた訳である。
 この頃、東京都の医療体制は逼迫しており、新たな救命救急センターの設置に関する打診が本院にあった。これは、本院の医療体制の強化のみならず、東京都への医療貢献に繋がるとの認識から応諾する事となった。そして2022年10月〜12月の試行期間で本院の診療実績が検証され、2023年3月20日に東京都から救命救急センターに指定された。極めて急な対応を強いられたが、全スタッフの協力を得て救命救急センターとして相応しいと評価されるに至ったことに改めて心より御礼申し上げる。
 救急医療に対するニーズは、超高齢社会において更に高まると想定される。今後、“救急ICU”を救急部に隣接した中央棟1階に増設する予定であり、救命救急センターとしての機能を高め診療体制の更なる充実を図る。また、本学における救急医療に対する教育体制も同時に整備して行きたい。今後、救急部/救命救急センターは、武田聡診療部長を中心として大きく発展するものと期待しており、同窓諸兄のご指導ご支援をお願い申し上げる。

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