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東京慈恵医科大学同窓会

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2023年10月25日 眼科学講座 西島義道君(平26)
2023年度日本再生医療学会奨励賞を受賞


 眼科学講座の西島義道助教は、令和5年度日本再生医療学会奨励賞を受賞し令和5年3月に京都で開催された第22回日本再生医療学会総会において表彰及び記念講演が行われた。受賞の研究課題は「膜結合型Trk受容体による、緑内障モデル動物における視機能保護及び軸索再生効果」である。
 日本再生医療学会奨励賞は、日本再生医療学会より毎年最も優れた基礎研究及び臨床応用研究を行った若手研究者に与えられる賞であり、それぞれ選出されるのは全科を通じて1名のみである。専門領域に関わらず再生医療領域全体に対する学会賞として、再生医療研究をしている者にとっては憧れの賞である。西島君の受賞は本講座より初めての受賞となった。
 緑内障は日本人の失明原因の第1位であり、不治の神経変性疾患と言われている。今回西島君は脳由来神経栄養因子(BDNF)とその受容体であるTrkBに注目し、TrkBの細胞内領域のみを取り出し膜結合型にすることで、常時細胞内でBDNF―TrkBシグナルが活性化する活性型TrkBを開発した。この活性型TrkBをアデノ随伴ウイルス(AAV)に組み込み、視神経挫滅モデルマウスの視神経を再生させることに成功した。また、視覚中枢である上丘付近を障害したマウスに活性型TrkBを組み込んだAAVを投与したところ、部分的に視機能が回復した。本研究の成果は「Molec-ular Therapy」誌に令和5年3月に掲載された。同君は入局当初より本学及び東京都医学総合研究所にて緑内障の臨床と研究に研鑽を積んでおり、本研究が緑内障患者を救うことに繋がることが期待される。さらなる西島君の研究の発展に期待したい。
(眼科学講座担当教授 中野 匡記)

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