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東京慈恵医科大学同窓会

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2023年11月25日 第34回 日本緑内障学会学術集会を終えて
学会長 眼科学講座担当教授 中野 匡


 第34回日本緑内障学会学術集会が、眼科学講座担当中野匡教授を学会長として、令和5年9月8日から10日にかけて虎ノ門ヒルズフォーラムと本学講堂で開催された。日本緑内障学会は昭和35年から続く緑内障の研究会を前身とした歴史と権威ある学会であり、日本の眼科学会のなかで最も大きな専門学会である。本学がこの学術集会を主催する栄誉に輝いたのは初めてのことであった。緑内障は適切な治療を受けなければ失明に至る視神経の変性疾患で、日本の中途失明原因の第1位であり、特に超高齢化の進展とともに今後益々重要となる疾患である。本大会は「緑内障の精密医療-PRECISION MEDICINE-」をテーマとした。同テーマには、多因子疾患であり複雑な病態機序を持つ緑内障を層別化し、より適切な予防・診断・治療を行うという次世代医療への前進の契機になればという思いが込められた。本大会は現地開催にライブ配信、オンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われ、魅力あるプログラムのための工夫や特別企画・学会長企画、趣向を凝らした広報活動なども効を奏し、コロナ前をしのぐ記録的な参加者数となった。
 初日は台風直撃の悪天候であったが、2日目以後は天気に恵まれ、3日間とも各セッションに溢れるほど多数の聴講者が詰めかけて活発な議論が交わされた。招待講演ではJeffrey Goldbe-rg教授(スタンフォード大学)が神経保護など緑内障の先進的治療などを紹介され、GlobalSymposiumでは海外から著明なゲストが参加した。計37題のシンポジウムと36題の教育講演、150題の一般演題が発表され、緑内障の病態に即した診療手法の改良・開発、未来型医療(すなわちprecision medicine)を目指して、各セッションは熱のこもった議論が展開された。また仲泊聡客員教授によるロービジョン相談や市民公開講座も多くの参加者で賑わい、25の共催セミナーは過去数年のコロナ禍で例を見ないほどの盛況を呈した。SNSを用いた学術集会の情報発信など、講座の医局員全員が慈恵らしいホスピタリティーを以て国内外の参加者をもてなした。本大会を成功裡に終えることができ、改めてご協力頂いた同窓、関係者、教室員各位に心より感謝申し上げる。
(学術集会事務局長 野呂隆彦記・平12)

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