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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2014年03月25日 中山和彦教授(昭52)会長のもと
第17回学会日本精神医学史学会学術講演会開催


 平成25年11月9日、10日の両日、本学大学1号館3階・5階講堂にて第17回学会日本精神医学史学会学術講演会が精神医学講座主催により開催された。秋雨の次節ながら、幸い天候に恵まれ、また多数の方々のご支援とご協力により、200名に及ぶ多くの参加をいただき、成功裏の内に無事に会を終了することができた。本紙面を借り、ご参加並びにご支援頂きました松藤千弥学長はじめ、関係各位に心より御礼申し上げます。
 本学会では精神医学講座担当中山和彦教授が大会長として掲げたテーマである、精神医学史が語る「自律と連続」の融合の本旨に基づき、森田療法創始の時期の看護状況の報告に端を発し、カールバウムの緊張病、非定型精神病、そして祈祷性精神病へと、視点を巡らせ、森田療法という基軸を通じて、精神医学史全体を眺望する本学会の骨子は、三つのシンポジウム、二つの特別講演の中での諸先生方の素晴らしいご講演の数々によって、企画側の予想を上回る深く広い議論が展開される結果となった。
 加えて、ランチョンの二つの講演では、現代の精神医学において必須の知識である、「双極性障害概念史」や、「高齢者の薬物療法史」を極めて分かり易くご講演いただき、改めて学ぶ所も少なく無かったように思われる。また、本学術集会の根幹である、今回27演題に及ぶ学会員の一般口演は、いずれも研究者の日頃の精神医学史研究のレベルの高さを示したものであり、時に白熱する議論の中に、諸先生の精神医学史研究に掛ける情熱の強さを感じた。本学会では今回特に、我が講座の森田正馬初代教授にちなんだ展示企画として、森田教授の郷里高知において江戸末期から明治初期に書かれた特異な画風で著名な「絵金」の屏風絵、そして東洋大学の御協力を得て、森田療法創始の時期に一致して活躍した井上円了の妖怪研究の資料を展示させていただいた。この二つは本学で創始され世界的に著名な精神療法である「森田療法」の原風景と呼べるものであり、本学黎明期における我が国の精神世界の一側面を照らし出したものと言えるであろう。秋の日々に、精神医学の歴史を深く探訪し、改めて森田療法の源流に触れた二日間であった。
(精神医学講座 小野和哉記)

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